「TOEICで高得点を取ったのに、英語が話せない…」
「TOEICの勉強と日常会話の練習、どちらに集中すべき?」
「英語力を総合的に向上させたいけど、どうすればいいの?」
こんな悩みを持っていませんか?
実は、TOEICの高得点と日常会話力は必ずしも一致しないんです。
TOEICとは?基本を理解しよう
まずは、TOEICについての基本的な理解から始めましょう。
TOEIC Programの概要
TOEICプログラムには、実は2つのテストブランドがあります:
1. TOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)
2. TOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W)
これらのテストにより、4つの英語スキル(聞く・読む・話す・書く)を総合的に測定できます。
TOEICは、英語によるコミュニケーション能力を評価する世界共通のテストとして、多くの企業や教育機関で活用されています。
TOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)
TOEIC L&Rは、日本で最も受験者数の多いテストです。
主な特徴:
・ 聞く力と読む力を測定
・ 問題数:200問(リスニング100問・リーディング100問)
・ 制限時間:2時間(リスニング45分・リーディング75分)
・ 試験方式:マークシート方式
・ 結果:990点満点(Reading 495点満点、Listening 495点満点)
TOEIC L&Rは、ビジネスシーンを中心とした日常的な英語コミュニケーション能力を測定します。
テストの内容は、会議、プレゼンテーション、電話での会話、Eメールなど、実際のビジネス場面で使われる英語に基づいています。
TOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W)
TOEIC S&Wは、話す力と書く力を測定するテストです。
主な特徴:
・ 問題数:19問(スピーキング11問・ライティング8問)
・ 制限時間:1時間20分(スピーキング20分・ライティング60分)
・ 試験方式:パソコン上で受験
・ 結果:200点満点
TOEIC S&Wは、実際のコミュニケーション能力をより直接的に評価します。
スピーキングセクションでは、音読や写真描写、質問への応答などの課題があり、ライティングセクションでは、文章の作成やEメールの返信などの課題があります。
TOEIC S&Wの重要性は増しており、今後、L&Rのスコアに加えてS&Wテストの必要性がますます高まると予想されています。
これは、グローバル化が進む現代のビジネス環境において、英語で直接コミュニケーションを取る能力がより重視されるようになってきているためです。
TOEICの高得点と実際の英語力:なぜギャップが生まれるのか?
ここで、多くの人が疑問に思う点について考えてみましょう。
TOEICテストの特性
TOEIC L&Rテストには、以下のような特徴があります:
1. リスニングとリーディングのみのテスト
・ スピーキングとライティングの能力は直接測定されません。
2. 選択式問題(4択)
・ 実際のコミュニケーションでは、選択肢から答えを選ぶことはありません。
3. 時間制限がある
・ 実際のコミュニケーションでは、このような厳密な時間制限はありません。
これらの特徴から、TOEIC L&Rは「テストで正解を選ぶ能力」を主に測るものだと言えます。
つまり、TOEICのスコアは、特定の状況下での英語力を示すものであり、必ずしも実際のコミュニケーション能力と一致するわけではないのです。
実例:TOEICスコアと実際の英語力の差
興味深い例をご紹介しましょう。
私の知人に、日本の中小企業で海外営業を担当している山田さん(仮名)がいます。
山田さんのTOEICスコアは550点程度で、決して高くはありません。
一般的に、ビジネスで十分なコミュニケーションを取るには730点以上が必要だと言われているため、550点というスコアは決して高いとは言えません。
しかし、実際の英語力はかなり高く、海外のクライアントとの商談や契約交渉を難なくこなしています。
彼女は、商品の特徴を分かりやすく説明したり、クライアントの要望を正確に理解したり、時には冗談を交えながら良好な関係を築いたりと、実践的な英語力を発揮しています。
山田さんは、大学時代に1年間のワーキングホリデーでオーストラリアに滞在した経験があり、そこで培った実践的な英語力が仕事で大いに役立っているそうです。
彼女は、「オーストラリアでの経験で、間違いを恐れずに英語を使うことの大切さを学びました。TOEICの点数は低いですが、実際のコミュニケーションでは自信を持って英語を使えています」と話しています。
この例は、テストのスコアと実際の英語力が必ずしも一致しないことを示しています。
また、実践の場で英語を使い続けることの重要性も教えてくれます。
TOEIC学習と実践的英語力の違い
TOEIC L&Rの勉強で鍛えられる能力:
・ 語彙力:ビジネス関連の単語や表現を中心に、幅広い語彙を学びます。
・ 文法理解:英文法の正確な理解が問われます。
・ リーディング力:長文を素早く正確に理解する力が養われます。
・ リスニング力:様々な英語の発音やアクセントを聞き取る力が鍛えられます。
一方、実践的な英語力、特に会話力に必要な能力:
・ 瞬時に適切な表現を選んで話す能力:状況に応じて適切な表現をすぐに思い出し、使用する能力が必要です。
・ 相手の言葉を聞いて即座に理解し、反応する能力:相手の話を理解し、適切に応答する能力が求められます。
・ 文脈や状況に応じて適切な表現を使い分ける能力:フォーマルな場面とカジュアルな場面で表現を変える能力が必要です。
・ 発音やイントネーション:正確な発音とイントネーションで自分の意図を伝える能力が重要です。
・ 非言語コミュニケーション:ジェスチャーやアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーション手段も大切です。
これらの違いが、TOEICの高得点と実際の英語力のギャップを生み出す原因となっているのです。
TOEICで高得点を取るための勉強は、確かに英語力の向上に役立ちます。
しかし、それだけでは実際のコミュニケーション場面で必要なスキルをすべてカバーすることはできません。
TOEICの高得点を目指す価値
とはいえ、TOEICの高得点を目指す価値は十分にあります。
以下のようなメリットがあります:
1. 就職や昇進に有利
多くの企業が採用や昇進の基準の一つとしてTOEICスコアを参考にしています。
高得点があれば、自分の英語力を客観的に示すことができ、キャリアアップのチャンスが広がります。
2. 海外赴任のチャンスが広がる
グローバル展開している企業では、海外赴任の際にTOEICスコアを考慮することが多いです。
高得点があれば、海外で働くチャンスが増えるかもしれません。
3. 英語学習のモチベーション維持につながる
定期的にTOEICを受験することで、自分の英語力の成長を数値で確認できます。
スコアの向上を実感することで、さらなる学習のモチベーションにつながります。
4. 英語の基礎力強化に役立つ
TOEICの勉強を通じて、語彙力、文法力、リーディング力、リスニング力など、英語の基礎力を総合的に強化できます。
これらの基礎力は、実践的な英語力を伸ばす上でも重要な土台となります。
5. 国際的な英語力の証明になる
TOEICは世界中で認知されているテストです。
高得点を取ることで、国際的に通用する英語力の証明になります。
特に、語彙力や文法理解、リーディング力、リスニング力は、実践的な英語力の基礎となります。
これらの能力が高まれば、実際のコミュニケーション場面でも応用が利きやすくなります。
ですから、TOEIC対策の勉強が無駄になることはありません。
むしろ、効果的な学習方法を身につけることで、英語力全体の底上げにつながるのです。
実践的な英語力を身につける方法
では、TOEICの学習と並行して、どのように実践的な英語力を身につければよいのでしょうか?
ここでは、効果的な方法をいくつか紹介します。
英語を話す機会を増やす
1. 英会話スクールに通う
・ メリット:定期的に英語を話す機会が得られる、専門家からのフィードバックが得られる
・ 実践方法:週1回以上のレッスンに参加し、宿題にも真剣に取り組む
2. 語学交換アプリを使って外国人と会話する
・ メリット:無料で利用できる、世界中の人と交流できる
・ 実践方法:毎日30分程度、アプリを使って外国人とチャットや音声通話をする
3. 英語のディスカッショングループに参加する
・ メリット:様々なトピックについて深い議論ができる、多様な意見に触れられる
・ 実践方法:月に1回以上、オンラインや対面のディスカッショングループに参加する
4. 海外旅行や留学にチャレンジする
・ メリット:英語を使わざるを得ない環境に身を置ける、異文化体験ができる
・ 実践方法:年に1回以上の海外旅行を計画する、または短期留学プログラムに参加する
リスニング力を鍛える
1. 英語のポッドキャストを聴く
・ メリット:移動時間などの隙間時間を活用できる、興味のあるトピックを選べる
・ 実践方法:通勤・通学時に毎日15分以上、ポッドキャストを聴く
2. 英語のニュースや動画を字幕なしで見る
・ メリット:ナチュラルスピードの英語に慣れる、時事問題の知識も得られる
・ 実践方法:毎日10分以上、BBC
NewsやCNN、TED Talksなどの動画を視聴する
3. 洋楽を歌詞を見ながら聴く
・ メリット:楽しみながらリスニング力を鍛えられる、自然な表現を学べる
・ 実践方法:週に3曲以上、歌詞を見ながら洋楽を聴き、意味を理解する
シャドーイング練習
シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、ほぼ同時に真似して話す練習方法です。
効果:
1. 発音やイントネーションの向上
2. 英語の自然なリズムの習得
3. リスニング力と発話力の同時強化
実践方法:
・ 短い英語のニュースや会話文を選ぶ
・ まずは音声をよく聞き、内容を理解する
・ 次に、音声に合わせて同時に話す練習をする
・ 最初は難しくても、繰り返し練習することで上達する
毎日10分程度、継続的に行うことで効果が表れます。
英語で考える習慣をつける
1. 自分の行動を英語で説明してみる
・ 例:朝起きてから寝るまでの行動を英語で説明する
・ 効果:日常生活に関する語彙力の向上、英語での自己表現力の強化
2. 見たものや感じたことを英語で表現してみる
・ 例:通勤途中の風景や、仕事中の出来事を英語で描写する
・ 効果:観察力の向上、即興で英語を使う能力の強化
3. 日記を英語で書く
・ 方法:毎日5文以上、その日あったことや感じたことを英語で書く
・ 効果:ライティング力の向上、英語で自分の思いを表現する力の強化
これらの習慣を身につけることで、英語でのコミュニケーション能力が自然と向上します。
TOEIC S&Wにもチャレンジする
TOEIC S&Wにチャレンジすることで、スピーキングとライティングの能力も測定・強化できます。
メリット:
1. 実践的なコミュニケーション能力の向上
2. ビジネスシーンを想定した課題への対応力強化
3. 自分のスピーキング・ライティング能力の客観的評価
準備方法:
・ TOEIC S&Wの公式問題集を活用する
・ 音読練習やスピーチ練習を日常的に行う
・ 英語でのEメール作成練習を行う
TOEIC S&Wの学習を通じて、より総合的な英語力を身につけることができます。
TOEICと実践的英語力の両立:効果的な学習法
ここからは、TOEICのスコアアップと実践的英語力の向上を同時に目指す方法を詳しく見ていきます。
TOEICの問題を会話練習に活用する
1. リーディングセクションの文章を音読する
・ 方法:TOEIC問題集から短い文章を選び、声に出して読む
・ 効果:発音の向上、内容理解の深化、語彙の定着
2. リスニングセクションのダイアログをロールプレイする
・ 方法:パートナーと役割を決めて、ダイアログを演じる
・ 効果:リスニング力と会話力の同時強化、ビジネス場面での対応力向上
3. 問題の選択肢を使って、自分で文章を作る
・ 方法:4つの選択肢を使って、オリジナルの文章を作成する
・ 効果:語彙の活用力向上、文章構成力の強化
これらの方法を通じて、TOEICの学習材料を実践的なコミュニケーション練習に活用できます。
リーディングとスピーキングを組み合わせる
TOEICのリーディング問題を解いた後、その内容について英語で要約したり、意見を述べたりする練習をしましょう。
手順:
1. TOEICのリーディング問題を時間を計って解く
2. 解答後、その文章の内容を英語で1分間で要約する
3. 文章のトピックについて、自分の意見を英語で2分間述べる
効果:
・ 読解力と話す力の同時強化
・ 内容を理解し、それを自分の言葉で表現する能力の向上
・ 即興で英語を話す力の強化
この練習を週に2・3回行うことで、リーディング力とスピーキング力を効果的に向上させることができます。
よくある疑問と回答
ここでは、TOEICと実践的英語力に関してよくある疑問にお答えします。
TOEICは「使えない」英語だと言われることがありますが、本当ですか?
A: TOEICで学ぶ英語は決して「使えない」わけではありません。ビジネスシーンで使われる実践的な英語も多く含まれています。ただし、テストの形式上、実際のコミュニケーション能力をすべて測ることはできません。TOEICで学んだ英語を実践の場で使う努力が必要です。
例えば、TOEICで学ぶビジネス語彙や表現は、実際のビジネスシーンでも頻繁に使用されます。重要なのは、これらの知識を実際のコミュニケーションの中で活用する練習を重ねることです。
Q2: 「うまく説明できない」を英語で言うには?
A: “I’m having trouble explaining it” や “I can’t explain it well” などと表現できます。また、状況に応じて以下のような表現も使えます:
・ “I’m struggling to put it into words”(言葉にうまく表現できない)
・ “I’m not sure how to describe it”(どう説明すればいいかわからない)
・ “It’s difficult for me to articulate this”(これをうまく言葉で表現するのが難しい)
これらの表現を状況に応じて使い分けることで、自分の困難を適切に伝えることができます。
Q3: TOEICの勉強と英会話の練習、どちらを優先すべきですか?
A: これは個人の目標によって変わります。就職や昇進のために急いでTOEICスコアを上げる必要がある場合は、一時的にTOEIC対策に集中するのも良いでしょう。しかし、長期的には両方をバランス良く学習することをおすすめします。
具体的なアプローチとしては:
1. 平日はTOEIC学習に30分、会話練習に15分
2. 週末は逆に、TOEIC学習に15分、会話練習に30分
3. 月に1回は、TOEICの模擬テストと30分のネイティブスピーカーとの会話練習を行う
このようなバランスの取れた学習計画を立てることで、総合的な英語力を効果的に向上させることができます。
Q4: TOEICのスコアが上がっても、実際の英語力が向上した実感がありません。どうすればいいですか?
A: これはよくある悩みです。以下のようなアプローチを試してみてください:
1. TOEICの学習内容を日常生活に応用する
例:学んだ表現を使って、同僚や友人と英語で会話する
2. リアルな英語使用環境に身を置く
例:英語のミートアップに参加する、海外旅行に行く
3. TOEIC S&Wにもチャレンジする
スピーキングとライティング能力も測定することで、より総合的な英語力の向上を図る
4. 英語のポッドキャストやニュースを日常的に聴く
実際に使われている英語に触れる機会を増やす
これらの方法を組み合わせることで、TOEICのスコアアップと実践的な英語力の向上を同時に実感できるようになるでしょう。
まとめ:TOEICと実践的英語力、バランスの取れた学習を
ここまで、TOEICの高得点と実践的な英語力について詳しく見てきました。
重要なポイントをおさらいしましょう:
1. TOEICの高得点と実践的な英語力には違いがある
・ TOEICは主にリスニングとリーディング能力を測定
・ 実践的英語力には、スピーキングやライティング能力も重要
2. TOEICの高得点を目指す価値はある
・ 就職や昇進に有利
・ 英語学習のモチベーション維持につながる
・ 英語の基礎力強化に役立つ
3. 実践的な英語力を身につけるには特別な練習が必要
・ 英語を話す機会を増やす
・ リスニング力を鍛える
・ シャドーイング練習を行う
・ 英語で考える習慣をつける
4. TOEICの学習と実践的英語力の向上は両立可能
・ TOEICの問題を会話練習に活用する
・ ビジネス英語に焦点を当てる
・ リーディングとスピーキングを組み合わせる
・ 語彙力を実践的に強化する
5. 定期的な自己評価と長期的な学習計画が重要
・ TOEICスコアと実践的英語力の両方を定期的にチェック
・ 6ヶ月程度の長期計画を立てて着実に実行する
これらのポイントを意識しながら、バランスの取れた学習を心がけることが大切です。TOEICのスコアアップを目指しつつ、日常的に英語を使う機会を作ることで、総合的な英語力を効果的に向上させることができるでしょう。