「もし宝くじに当たったら…」
「あの時、違う選択をしていたら…」
こんな風に、現実とは異なる状況を想像したことはありませんか?
英語では、このような非現実的な状況や願望を表現するときに「仮定法」を使います。
でも、仮定法って難しそう…と思っていませんか?
この記事を読めば、仮定法のわかりやすい解説と実践的な使い方が学べますよ。
「仮定法 was」の使い方から「if would」の表現まで、しっかり理解していきましょう。
仮定法って何?なぜ必要なの?
仮定法は、現実とは異なる状況や、実現可能性の低い願望を表現するための文法です。
日本語では「~だったら」「~であれば」といった表現を使いますね。
英語の仮定法を使うと、次のようなことが表現できます:
1. 現実とは異なる状況の想像
例:「もし私が鳥だったら、空を飛べるのに」
2. 実現可能性の低い願望
例:「お金持ちだったらいいのに」
3. 過去の出来事に対する後悔
例:「あの時、もっと勉強していれば良かった」
4. 丁寧な表現や控えめな表現
例:「もしよろしければ、お手伝いさせていただきたいのですが」
仮定法を使うことで、より豊かで繊細な表現が可能になります。
英語でのコミュニケーションをより深く、より正確にするために、仮定法は大切な文法なのです。
それでは、具体的な使い方を見ていきましょう。
仮定法の基本構造
仮定法には、大きく分けて3つの種類があります:
1. 仮定法過去
2. 仮定法過去完了
3. 仮定法現在
ここでは、それぞれの基本的な構造を見ていきましょう。
仮定法過去の構造
仮定法過去は、現在の事実とは異なる状況を想像するときに使います。
基本構造:
If + 主語 + 動詞の過去形, 主語 + would + 動詞の原形
例文:
・ If I were rich, I would travel around the world.
(もし私が金持ちなら、世界中を旅するでしょう)
この文では、「私は金持ちではない」という現実に対して、「もし金持ちだったら」という仮定の状況を表現しています。
仮定法過去完了の構造
仮定法過去完了は、過去の事実とは異なる状況を想像するときに使います。
基本構造:
If + 主語 + had + 過去分詞, 主語 + would have + 過去分詞
例文:
・ If I had studied harder, I would have passed the exam.
(もっと一生懸命勉強していたら、試験に合格していたでしょう)
この文では、「試験に合格しなかった」という過去の事実に対して、「もっと勉強していたら」という仮定の状況を表現しています。
仮定法現在の構造
仮定法現在は、将来の可能性が低い状況を想像するときに使います。
基本構造:
If + 主語 + 動詞の原形, 主語 + will + 動詞の原形
例文:
・ If it rains tomorrow, we will cancel the picnic.
(明日雨が降れば、ピクニックを中止するでしょう)
この文では、「明日雨が降るかもしれない」という将来の可能性を表現しています。
これらの基本構造を覚えておくと、仮定法を使う際の土台になります。
次は、それぞれの仮定法をより詳しく見ていきましょう。
仮定法過去:「was」を使う場合
仮定法過去で特に注意が必要なのが、「be動詞」の使い方です。
ここでは、「was」を使う場合について詳しく説明します。
基本ルール
仮定法過去では、通常「were」を全ての人称で使います。
例:
・ If I were you, I would apologize.
(もし私があなたなら、謝罪するでしょう)
・ If he were taller, he could reach the top shelf.
(もし彼がもっと背が高ければ、一番上の棚に手が届くでしょう)
「was」を使う場合
しかし、くだけた会話や、より自然な表現を求める場合には、一人称と三人称単数で「was」を使うこともあります。
例:
・ If I was rich, I would buy a yacht.
(もし私が金持ちなら、ヨットを買うでしょう)
・ If she was here, she would know what to do.
(もし彼女がここにいたら、何をすべきか分かるでしょう)
「was」と「were」の使い分け
「was」と「were」の使い分けは、以下のように考えるとよいでしょう:
1. フォーマルな文章や試験では「were」を使う
2. 日常会話では「was」も「were」も使える
3. 「If I were you」のような定型表現は常に「were」を使う
重要なのは、一つの文章の中で統一性を保つことです。
「was」を使うなら一貫して「was」を、「were」を使うなら一貫して「were」を使いましょう。
練習問題①
以下の文を仮定法過去に書き換えてみましょう:
1. I’m not a millionaire. I can’t buy a private jet.
→ If I (was/were) a millionaire, I (could/would) buy a private jet.
2. She isn’t the president. She can’t change the law.
→ If she (was/were) the president, she (could/would) change the law.
3. We don’t have a car. We can’t go on a road trip.
→ If we (had) a car, we (could/would) go on a road trip.
答えは文末に記載しています。
仮定法過去の「was」の使い方を理解したところで、次は「if would」の表現を見ていきましょう。
「if would」の仮定法表現
「if would」という組み合わせは、一般的な仮定法の構造では使われません。
しかし、特定の状況下では「if」と「would」が一緒に使われることがあります。
ここでは、そのような特殊な用法を見ていきましょう。
丁寧な依頼や要求
「if you would」という表現は、非常に丁寧な依頼や要求を表すために使われます。
例:
・ If you would be so kind as to help me, I’d greatly appreciate it.
(もしよろしければ私を助けていただけると、大変ありがたく思います)
・ I’d be grateful if you would consider my proposal.
(私の提案をご検討いただければ幸いです)
これらの表現は、ビジネスシーンや formal な場面でよく使われます。
間接的な依頼や提案
「if」と「would」を使って、間接的な依頼や提案をすることもあります。
例:
・ I wonder if you would mind closing the window.
(窓を閉めていただけないでしょうか)
・ I was wondering if you would like to join us for dinner.
(私たちと夕食を共にしていただけないでしょうか)
これらの表現は、直接的な依頼よりも柔らかい印象を与えます。
条件付きの約束や申し出
「if you would」を使って、条件付きの約束や申し出を表現することもできます。
例:
・ I would be happy to help if you would just ask.
(もし頼んでいただければ、喜んでお手伝いします)
・ We would consider your offer if you would provide more details.
(もっと詳細を提供していただければ、あなたの申し出を検討いたします)
これらの表現は、相手の行動を条件として自分の行動を約束する場合に使います。
「if」と「would」の一般的な使い方との違い
通常の仮定法では、「if節」に「would」は使いません。
例えば:
・ If it rained, I would stay at home.(○)
・ If it would rain, I would stay at home.(×)
しかし、上記で紹介した特殊な用法では、「if」と「would」が一緒に使われます。
これらの表現は、より洗練された、丁寧な言い回しとして認識されています。
練習問題②
以下の状況で、「if would」を使った丁寧な表現を作ってみましょう:
1. 友人に夕食に誘う
2. 上司に企画書を確認してもらう
3. 図書館で他の利用者に静かにするよう頼む
答えは文末に記載しています。
「if would」の特殊な用法を理解したところで、次は「それなら良かった」という表現の英語での言い方を見ていきましょう。
「それなら良かった」の英語表現
「それなら良かった」という日本語は、過去の出来事に対する後悔や、実現しなかった状況への願望を表します。
英語では、これを仮定法過去完了を使って表現します。
基本構造
「それなら良かった」の基本的な英語表現は以下の通りです:
It would have been better if + 主語 + had + 過去分詞
例:
・ It would have been better if I had studied harder.
(もっと一生懸命勉強していたら良かった)
この表現は、過去の事実とは異なる状況を想像し、それが「より良かった」と述べています。
バリエーション
「それなら良かった」は、状況に応じて様々な表現で言い換えることができます。
1. I wish + 主語 + had + 過去分詞
例:I wish I had taken that job offer.
(あの仕事のオファーを受けていたら良かった)
2. If only + 主語 + had + 過去分詞
例:If only we had left earlier.
(もっと早く出発していたら良かったのに)
3. I should have + 過去分詞
例:I should have listened to your advice.
(あなたのアドバイスを聞いていれば良かった)
これらの表現は、ニュアンスや強調したい点によって使い分けることができます。
使用場面と例文
1. 勉強に関する後悔
・ It would have been better if I had started studying earlier.
(もっと早くから勉強を始めていたら良かった)
2. 人間関係に関する後悔
・ I wish I had been more honest with her.
(彼女にもっと正直であれば良かった)
3. 仕事に関する後悔
・ If only I had prepared more for the presentation.
(プレゼンテーションにもっと準備をしていたら良かったのに)
4. 旅行に関する後悔
・ We should have booked the tickets in advance.
(前もってチケットを予約しておけば良かった)
これらの表現を使いこなせるようになれば、過去の出来事に対する感情をより豊かに表現できるようになります。
練習問題③
以下の状況で、「それなら良かった」を英語で表現してみましょう:
1. 友人の誕生日を忘れてしまった
2. 重要な会議に遅刻した
3. 海外旅行の際に、現地の言葉を学んでいなかった
答えは文末に記載しています。
「それなら良かった」の英語表現を理解したところで、最後に仮定法の実践的な使い方と注意点を見ていきましょう。
仮定法の実践的な使い方と注意点
仮定法は、適切に使うことで英語表現の幅が大きく広がります。
ここでは、仮定法を実際に使う際の注意点とコツを紹介します。
時制の一致
仮定法を使う際は、時制の一致に注意しましょう。
・ 現在の状況に対する仮定:仮定法過去を使う
例:If I had more time, I would learn a new language.
(もっと時間があれば、新しい言語を学ぶのに)
・ 過去の状況に対する仮定:仮定法過去完了を使う
例:If I had known about the party, I would have attended.
(パーティーのことを知っていたら、参加していたのに)
時制を間違えると、伝えたい意味が変わってしまう可能性があるので注意しましょう。
否定文の作り方
仮定法の否定文を作る際は、通常の否定文と同じように「not」を使います。
例:
・ If I weren’t so busy, I would help you.
(こんなに忙しくなければ、あなたを手伝うのに)
・ If he hadn’t missed the train, he wouldn’t have been late.
(彼が電車に乗り遅れていなければ、遅刻しなかっただろう)
話し言葉での省略
会話では、if節を省略して使うこともあります。
例:
・ I would have gone if I had known. → I would have gone.
(知っていたら行っていたのに → 行っていたのに)
・ If I were you, I wouldn’t do that. → I wouldn’t do that if I were you.
(私があなたなら、そんなことしないけどな)
このような省略は、文脈から意味が明らかな場合に使われます。
「wish」を使った表現
「wish」を使うと、現在や過去の状況に対する願望を表現できます。
・ 現在の状況に対する願望:
I wish I were taller.(もっと背が高ければいいのに)
・ 過去の状況に対する願望:
I wish I had studied harder.(もっと一生懸命勉強していればよかった)
仮定法を使った慣用表現
仮定法を使った慣用表現もいくつかあります。覚えておくと便利です。
・ If I were you…(私があなたなら…)
・ As if…(まるで…であるかのように)
・ If only…(…さえすればよかったのに)
・ It’s time…(もう…すべき時だ)
例:
・ If I were you, I would apologize.(私があなたなら、謝罪します)
・ He acts as if he owned the place.(彼はまるでこの場所の持ち主であるかのように振る舞う)
・ If only I had listened to my parents!(両親の言うことを聞いていればよかった!)
・ It’s time we left.(そろそろ私たちが出発する時間だ)
練習問題④
以下の状況で、適切な仮定法を使って文を作ってみましょう:
1. 宝くじに当たったら何をするか
2. 子供の頃にもっと野菜を食べていればよかった
3. 明日雨が降ったらピクニックはどうなるか
4. タイムマシンがあれば過去に戻りたい
答えは文末に記載しています。
まとめ:仮定法をマスターしよう!
ここまで、仮定法について詳しく見てきました。
いかがでしたか?
最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な構造を理解し、実際に使ってみることで、徐々に身につけていくことができます。
ここでもう一度、重要なポイントをおさらいしましょう:
1. 仮定法には主に3種類ある:仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法現在
2. 「was」と「were」の使い分けは、場面や文体によって変わる
3. 「if would」は特殊な用法として、丁寧な表現などで使われる
4. 「それなら良かった」は仮定法過去完了で表現できる
5. 時制の一致に注意し、適切な形を選ぶことが大切
6. 慣用表現を覚えておくと、自然な英語表現ができる
仮定法を使いこなせるようになれば、英語でのコミュニケーションの幅が大きく広がります。
現実とは異なる状況を想像したり、丁寧な依頼をしたり、過去の出来事に対する感情を表現したりと、様々な場面で活用できます。
日々の会話や文章の中で、意識的に仮定法を使ってみてください。
練習問題の解答
練習問題①の解答
1. If I were a millionaire, I would buy a private jet. (もし私が億万長者なら、プライベートジェットを買うでしょう)
注:(文法的に最も正確な形)口語では “If I was a millionaire…” も使われますが、フォーマルな文章や試験では “were” を使用するのが望ましいです。
2. If she were the president, she could change the law. (もし彼女が大統領なら、法律を変えることができるでしょう)
注:(文法的に最も正確な形)こちらも口語では “If she was the president…” という形も聞かれますが、フォーマルな場面では “were” を使用するのが適切です。
3. If we had a car, we could/would go on a road trip.(もし車があれば、ロードトリップに行けるでしょう)
補足説明
仮定法過去では、伝統的に全ての人称で “were” を使用することが文法的に正しいとされています。特に、フォーマルな文章や学術的な場面、英語の試験などでは “were” を使うべきです。
しかし、日常会話や非公式な文脈では、特に一人称(I)と三人称単数(he/she/it)で “was” を使用することも多く見られます。これは文法的には厳密には正しくありませんが、実際の言語使用では広く受け入れられつつあります。
結論として:
- フォーマルな文章、学術的な場面、試験:常に “were” を使用
- 日常会話、非公式な文脈:”were” が最も正確ですが、”was” も許容される傾向にあります
練習問題②の解答
1. I was wondering if you would like to join me for dinner.(もしよろしければ、一緒に夕食はいかがでしょうか)
2. I would appreciate it if you would take a look at my proposal.(私の提案に目を通していただければ幸いです)
3. I would be grateful if you would keep your voice down in the library.(図書館では声を低くしていただけると助かります)
練習問題③の解答
1. I wish I had remembered my friend’s birthday.(友達の誕生日を覚えていればよかったのに)
2. It would have been better if I had arrived on time for the important meeting.(重要な会議に時間通りに到着していればよかったのに)
3. If only I had learned some of the local language before the trip abroad.(海外旅行の前に現地の言葉を少し学んでおけばよかったのに)
練習問題④の解答
1. If I won the lottery, I would travel around the world.(宝くじに当たったら、世界中を旅行するでしょう)
2. I wish I had eaten more vegetables when I was a child.(子供の頃にもっと野菜を食べていればよかったのに)
3. If it rains tomorrow, we will have to cancel our picnic.(明日雨が降れば、ピクニックを中止しなければならないでしょう)
4. If I had a time machine, I would go back to the past.(タイムマシンがあれば、過去に戻るでしょう)
これらの解答を参考に、自分の答えを確認してみてください。
異なる表現でも、意味が通じていれば正解です。
仮定法の表現は多様なので、色々な言い方を試してみるのも良いでしょう。